20201224日付で、中小企業庁から事業再構築促進事業の補助金の実施予定が発表されました。

経済産業省・中小企業庁「ミラサポplus」該当ページ

https://mirasapo-plus.go.jp/infomation/11458/

今のところ公募時期は未定ですが、令和2年度3次補正予算案において実施予定とされているため、数ヶ月後の実施が予想されます。

そこで、さっそく、以下に概要をご説明致します。

 

  • 1 概要

新分野展開や業態転換、事業・業種転換等の取組、事業再編又はこれらの取組を通じた規模の拡大等を目指す企業・団体等の新たな挑戦を支援。

上記によれば、既出の他の補助金とほぼ同様に、コロナ禍への対応のために新規事業参入や業態転換を図る企業等に対し、その費用を補助するものであると思われます。

 

  • 2 対象(以下の要件を全て満たす企業・団体等)

    • (1)申請前の直近6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少している中小企業等。

 「中小企業等」とは、小規模企業者・中小企業者及び中堅企業者の総称と思われます。以下では、主要な対象と思われる「小規模企業者・中小企業者」についてご説明していきます。

なお、「小規模企業者・中小企業者」の範囲は、下表のとおりです。

 

 (上記「ミラサポplus」該当ページより引用)

  • (2)事業計画を認定支援機関や金融機関と策定し、一体となって事業再構築に取り組む中小企業等。

 認定支援機関は、次のリンクから一覧をダウンロードできます。

中小企業庁「経営革新等支援機関認定一覧について」

https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kakushin/nintei/kikan.htm

 なお、認定支援機関は税理士・税理士法人等の士業が中心となっており、神奈川県下での機関の数は、約1600となっています。

 

  • (3)補助事業終了後3~5年付加価値額の年率平均0%(一部5.0)以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額年率平均3.0%(一部5.0)以上増加の達成。

 「付加価値額」の内容は明示されていませんが、例えば、2020年度中小企業白書においては、次の式が記されています。

付加価値額=営業純益(営業利益⽀払利息等)+⼈件費(役員給与+役員賞与+従業員給与+従業員賞与+福利厚⽣費)+⽀払利息等+動産・不動産賃借料+租税公課

 

  • 3 補助内容

    • (1)補助額 100万円~6,000万円

    • (2)補助率 2/3

    • (3)補助対象経費

建物費、建物改修費、設備費、システム購入費、外注費(加工、設計等)、研修費(教育訓練費等)、技術導入費(知的財産権導入に係る経費)、広告宣伝費・販売促進費(広告作成、媒体掲載、展示会出展等)等が例示されています。

他方で、補助対象企業の従業員の人件費及び従業員の旅費は補助対象外とされ、まさに新規事業参入・業態転換のための費用を補助するという設計です。

 

以上は「通常枠」と呼ばれるもので、これ以外に「卒業枠」もあります。

卒業枠は、補助額 6,000万円超~1億円 補助率 2/3となっていますが、事業計画期間内に、組織再編、新規設備投資、グローバル展開のいずれかにより、資本金又は従業員を増やし、中小企業から中堅企業へ成長する事業者向けとされているため、主なターゲットは通常枠になろうかと思います。

 

  • 4 活用イメージ

上記「ミラサポplus」該当ページでは、次の3つの例が紹介されています。

  • (1)小売業

コロナの影響で客足が減った衣服販売業者が、ネット販売事業やサブスクサービス事業に業態を転換する場合の、店舗改修費用やシステム構築費用の補助。

  • (2)製造業

コロナの影響で需要が減少した航空機部品製造業者が、ロボット関連部品や医療機器部品製造の事業を新規に立ち上げる場合の、設備撤去費用や従業員研修費用の補助。

  • (3)飲食業

コロナの影響で客足が減ったレストラン業者が、オンライン専用の注文サービスを新たに開始する場合の、建物改修費用や機器導入費・宣伝広告費の補助。

 上記3例に共通しているのは、典型例であることもありましょうが、いかにもコロナの影響を受ける業種・業態から、コロナの影響を受けない又はむしろ需要が伸びている業種・業態への転換ないし参入である点です。

この点、本補助金は、要件を満たした申請であっても、必ず採択されるとは限りません。そこで、採択される可能性を高めるため、コロナ禍の下にあっても有望な業種・業態への転換ないし参入を(おそらくは計画書の限られたスペース上で簡潔に)アピールしていくことが重要かと考えます。類似補助金の弊所実例においても、事業計画のわかりやすさについては、入念に検討し指導を頂きました。

 

  • 5 申請方法

jGrants(電子申請システム)での受付を予定しているとされています。

また、jGrants のログインにはGビズIDプライムのアカウントが必要ですが、その発行に2~3週間要する場合があることから、事前の取得が推奨されています。

 jGrantsとは、経済産業省が運営する補助金の電子申請システムで、本件補助金に限らず、様々な補助金の申請を同システムから行うことができます。そのため、GビズIDプライムのアカウントを取得しておかれると便宜かと思います。

なお、GビズIDプライムアカウントの作成は、GビズIDのサイト上で申請書を作成し、印刷した後に、印鑑証明書を添付して所定の場所に郵送して申請します。弊所実例では、さすがに3週間はないものの、2週間近くはかかっています。その間は、事業計画を検討する等、他のご準備を並行されるとよいかと思います。

 「GbizID」トップページ

https://gbiz-id.go.jp/top/

 

  • 6 終わりに

202115日現在、本件補助金の詳細は、未だ公表されておりません。

当事務所では補助金のサポートも行っております。
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