雇用調整助成金の申請手続きが大幅に変わりました!

事業主が、雇用維持のために休業等を行った場合に、休業手当のうち所定の割合を助成する制度である雇用調整助成金。

さらに、新型コロナウイルス感染症の影響による休業等の場合には、特例措置がなされています。

今回は、519日以降、特例措置の申請手続きが大幅に変更されたことを受け、現在の申請手続きの概要を、これまでの手続と比較しながら紹介いたします。

1 518日以前の手続

これまで、申請手続きとしては、大きく

Ⅰ 計画届の提出

Ⅱ 支給申請

2段階とされ、それぞれの提出書類が、

Ⅰ 計画届の提出

A 休業等実施計画(変更)届(様式第1号⑴)

B 雇用調整事業所の事業活動の状況に関する申出書(様式特第4号)

C 休業協定書(ガイドブックに記載例あり)

D 事業所の規模を確認する書類(既存の労働者名簿及び役員名簿で可)

Ⅱ 支給申請

E 支給要件確認申立書(様式特第6号)

F (休業等)支給申請書(様式特第7号又は10号)

G 助成額算定書(様式特第8号又は11号)

H 休業・教育訓練実績一覧表(様式特第9号又は12号)

I 労働・休日の実績に関する書類(出勤簿、タイムカードの写し等)

J 休業手当・賃金の実績に関する書類(賃金台帳や給与明細の写し等)

となっていました。

そこで、まずは、Ⅰの手続きを着実に進める必要がありました。

2 519日以降の手続き

ところが、519日に、大幅な変更がなされました。

変更の内容は、大まかに次の2つです。

① 「Ⅰ 計画届の提出」そのものが不要となりました!

※システム不具合のため、稼働していません(令和2525日現在)

② オンラインで申請できることになりました!

このため、「Ⅰ計画届の提出」を経ず、「Ⅱ支給申請」を行えばよいことになりました。

 

とはいえ、計画届の提出で提出すべきであった書類のうち、提出が不要なのは、

A 休業等実施計画(変更)届(様式第1号⑴)

だけであり、

 

B 雇用調整事業所の事業活動の状況に関する申出書(様式特第4号)

C 休業協定書(ガイドブックに記載例あり)

D 事業所の規模を確認する書類(既存の労働者名簿及び役員名簿で可)

は、「②支給申請」の際に、

E 支給要件確認申立書(様式特第6号)

F (休業等)支給申請書(様式特第7号又は10号)

G 助成額算定書(様式特第8号又は11号)

H 休業・教育訓練実績一覧表(様式特第9号又は12号)

I 労働・休日の実績に関する書類(出勤簿、タイムカードの写し等)

J 休業手当・賃金の実績に関する書類(賃金台帳や給与明細の写し等)

とともに提出する必要がありますので、ご注意ください。

3 簡素化されたのは事実ですが、思わぬ落とし穴も!

519日の変更で、申請は、より易しくなったといえます。 

しかし、計画届の提出がなくなったことで、思わぬ影響が出ることがあります。

それは、「売上高等の減少を比較する基準月が変わってしまうこと」です。

この点はほとんど指摘されていませんが、コロナ特例の雇用調整助成金の要件として、「売上高等の事業活動指標が、前年同月比で5%以上減少していること」というものがあります。

そして、この基準となる月は、これまで、原則として、計画届の提出の前月とされていました。

 

ところが、今回の変更で、計画届の提出手続きがなくなってしまったため、基準となる月が別の方法で指定されることになりました。

具体的には、原則として「休業が行われた月」がその基準となります。

よって、月によって5%減少するか否かが微妙という事業主様の場合は、今回の変更によって、5%減少の要件を満たさなくなってしまうことがありえます。

このような場合は、お早めに最寄りの労働局にご相談されることをお勧めします。

なお、神奈川の事業主様であれば、

神奈川労働局 職業対策課 助成金センター 045-650-2801

が窓口です。

 

雇用調整助成金は、制度の運用が日々刻々と変わり続けています。

申請のご準備の際は、常に最新の動向をご確認ください。

厚生労働省 雇用調整助成金(新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html

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