夫婦の形はいつまでも同じ形で続くとは限りません。

当初は愛し合って結婚した夫婦も、結婚生活の中でいろいろな問題を抱え、終わりを迎えることは少なくありません。

今回は、どんな場合に離婚できるのか、について説明します。

 

双方が離婚に合意すれば離婚できる(協議離婚)

未成年の子がいない夫婦であれば、双方が離婚することに合意できれば、どんな理由であっても(さらにいえば理由がなくても)離婚することは可能です。

未成年の子がいる場合、離婚するには親権者を決める必要があります。その場合であっても、離婚後の親権者をいずれにするか争いがなければ離婚できます。

 

2人で話し合いができなければ調停に 理由は必要?

2人の間で離婚について話し合いがまとまらなかった。
それでもどうしても離婚したい、というときは、家庭裁判所に調停の申立てを行うことになります。

では、どんな場合に離婚調停の申立ができるのでしょうか。

結論を言えば、これもどのような理由であっても離婚調停の申立ては可能です。
調停とは裁判所での話合いの手続きです。最終的に双方が離婚で合意できれば、理由はいらないのです。逆に離婚したくないという結論であっても理由はいりません。
離婚自体には合意しているけれども親権の争いがある、といった場合には離婚そのものができませんので、調停は不成立になります。

 

相手は納得していないが離婚したい 裁判上の離婚原因

調停までやってみたけど、話し合いがまとまらず不成立に。それでもどうしても離婚したい。そのようなときは裁判による離婚を求めることになります。
裁判による離婚は、相手の意思がどうであれ離婚を認めてほしい、というものですので、どんな理由でも申し立てをすることができる、とする訳にはいきません。
そこで、法律は、「裁判上の離婚原因」があるときに限って、相手の同意なく離婚を認めることができると規定しています(民法7701項)。逆に言えば、双方が合意できるのであれば、裁判上の離婚原因にこだわる必要はないのです。

裁判上の離婚原因は、具体的には次の事由です。

・配偶者に不貞な行為があったとき
・配偶者から悪意で遺棄されたとき
・配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
・配偶者が強度の精神病に罹り、回復の見込みがないとき
・その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき

これらのなかで圧倒的に多いのは、「不貞行為」と「その他婚姻を継続し難い重大な事由」の2つです。

 

では、順番に見ていきましょう。

 

不貞行為

不貞行為とは配偶者以外の者と性的交渉を持つことです。

訴訟では、証拠がなければ事実の認定ができないので、証拠をとっておくことは大切です。
不貞行為が認められれば、通常は慰謝料の請求理由にもなりますので、「不貞」の事実を証明できれば非常に有利になります。

しかし、不貞行為はふつう密室で行いますので、第三者がそのものズバリの証拠を入手することは困難です。
裁判では、そうした事実を推認させる事実(メールの内容、手帳やメモの内容、関係者の証言、レシート、写真など)を証明することで、不貞の証明をしていくことが一般的です。

証拠を取るために調査会社に依頼した方がいい?

この不貞の証拠を一生懸命取ろうとするあまり、調査会社に多額の費用を支払ってしまう方がいらっしゃいますが、お勧めはしません。
調査会社の費用は、調査員の人数と作業時間に対してかかってきますので、ほとんどヒントのない網羅的な調査になると、あっという間に莫大な費用がかかってしまうことになりかねません。それに対して、仮に不貞の立証に成功したとしても、その費用に見合うだけの慰謝料は期待できません。調査費用も一般的には相手に対する請求は認められていません。そうなると赤字は避けられません。

いずれにせよ早めに弁護士に相談することをお勧めします。

 

 

その他婚姻を継続しがたい重大な事由

多くの裁判離婚において、離婚事由として上げられているのが、「婚姻を継続しがたい重大な事由」にあたる、というものです(判決で離婚を認める場合も圧倒的にこの理由によるものが大多数です。)。

つまり、「婚姻関係が破綻しており、回復が見込まれない状況」にある場合に離婚原因として認められることがあるということです。

原因が1つであることはまれで、いろいろな事情が複数存在して、婚姻関係が破綻していると評価できるのが通常です。

 

よく主張される事情としては概ね次のとおりです。

・暴力
・精神的虐待
・別居期間が長期にわたる
・異性関係
・過度な宗教活動
・生活費を渡さない
・性交渉の拒絶
・性格の著しい不一致
・子供に対する価値観の相違
・アルコール中毒
・薬物依存
・過度の浪費
・親族との折り合いが悪い
等々

 

「性格の不一致」で離婚できるか

よく離婚の原因として言われる「性格の不一致」。裁判所が用意している調停申立書の「申立ての動機」の選択肢にも、「1 性格があわない」といちばん最初に上げられています。

では、果たしてこの「性格の不一致」という理由だけで離婚が可能でしょうか。

夫婦はもともと他人です。完全に性格が一致することはありえません。
性格が合わなくても、夫婦関係は円満という夫婦はいくらでも存在します。

性格が合わないことによって、他の事情(性的な不一致、異性関係、暴力、精神的虐待、別居など)に至って初めて法的に評価できる事由になるとみるべきでしょう。

つまり、裏を返せば、婚姻を継続しがたい事由が生じた「背景」が「性格の不一致」にあった、と言える場合があるということです。
このようなときにいろんな事情をまとめて「性格の不一致」で離婚したと説明しているケースがあると、あたかも性格の不一致だけで離婚できたように見えるわけです。

裁判離婚に向けては、これまでの夫婦関係について弁護士が聞き取って、それを法的に構成して主張することが必要になってきます。

性質上、プライベートなことまで立ち入らざるを得ませんので、信頼関係が不可欠です。
信頼できる弁護士に早めに相談されることをお勧めします。

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