新型コロナウイルスの影響による情勢の変化は、緊急事態宣言の対象範囲が全国へ拡大されるなど、依然として悪化の一途をたどり、先行きが不透明な状況が続いております。
このような事態を受け、弊所では、企業の皆様に対して、何らかのサポートができないかと考え、新型コロナウイルス対策のポイントを、Q&A方式でまとめてみました。
未だ予断を許さない状況ではございますが、何らかのお役に立てれば幸いです。

Q1 企業が行うべき新型コロナウイルス対策とは?

A1 感染防止対策だけでなく、事業継続対策との両立が必要。そのためには、正確な情報の入手を。

会社は、従業員に対して、安全配慮義務を負っています(労働契約法3条、労働安全衛生法1条及び3条)。一方で、経営者は、会社に対して事業を継続させる善管注意義務を負っています(民法644条)。

そのため、感染防止対策と、重要業務を継続することで企業を存続させる対策との両立が必要になります。

そして、適切な対策を講じるための判断資料や、会社が講じる対策を従業員や取引先に説明するための資料として、正確な情報を入手することが極めて重要になります。

Q2 善管注意義務違反と判断されないためには?

A2 専門家からの情報収集、社内で十分な議論と適正な手続きを経ることの2点が大事です。

善管注意義務違反については、前提となった事実認識に不注意な誤りがあり、または、意思決定の過程が著しく不合理であったと認められる場合、取締役の善管注意義務に違反するものとなると判示した裁判例があります(東京地方裁判所平成5年9月16日判決)。

そこで、次の2つの観点から判断することができます。

① 正しい事実認識をもつこと

専門家(保健所・医師・弁護士)からの情報収集が重要です。なお、現場の情報は、保健所が持っていることが多いので、リスク回避の観点からは、地域の保健所に連絡し、正確な情報を得ているという記録を証拠として残しておくとよいでしょう。

② 意思決定過程の合理性を確保すること

社内で十分な議論と適正な手続きを経ることが重要なのですが、意思決定の担当者が新型コロナウイルスに感染したら、②の実行に重大な支障が生じかねません。そこで、できる限り早めに対策を行うことをお勧めします。

Q3 安全配慮義務の程度は?

 A3 労働者の職種・労務内容・労務の提供場所・その他の具体的状況により異なります。

判例は、具体的状況によって異なると指摘しています(最高裁昭和59年4月10日第三小法廷判決)。そのため、労働者の職種・労務内容・労務の提供場所・その他の具体的状況を考慮することが重要です。

例えば、会社がマスクを配布したり、消毒液を設置しただけで、安全配慮義務を果たしたと考えがちです。
しかし、そのマスクを従業員が使わない、消毒液を設置しても減らないという場合ということも十分にあり得ます。

用具器具の提供にとどまらず、従業員にこれらを利用する必要性があることを周知することや、用具器具を正しく使用する訓練を実施することまでが安全配慮義務に含まれると判断した裁判例(福岡地方裁判所平成18年12月13日判決)もありますので、注意が必要です。

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