川崎(じもと)の弁護士 伊藤諭 です。

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失われた20年と言われて久しい我が日本。

普通預金の金利がミクロなご時世,怪しい金融商品のうたい文句も,「普通預金に預けていていいんですか?」といったトーンになってます。

そりゃ,0.03%とか,預金の意味がないと思っちゃいますよね?

この5年、実は円預金が最も有利だった :銀行と賢くつきあう方法:マネー :日本経済新聞
(有料記事です。すみません。)

日経の電子版でこんな記事を見つけました。

有料記事ですので,内容をかいつまんで説明いたしますと,この5年前から,日経平均(インデックス),ドル,ユーロ,豪ドルでそれぞれ運用した場合には元本を上回らない(日経平均と米ドルにいたっては一度も元本を上回っていない),結果的に(元本保証されている点で)円預金が最も有利だったというお話です。

この5年間,円高傾向が強く,また株価もずっと低迷していたので,比較をするとそうなんだろうなという理解はできます。また,デフレ経済下においては,貨幣の価値が上がりますから,形式的には増えていなくても実質金利は高いともいえます。

他方,5年という時期の設定の仕方が恣意的だという評価はあるかもしれません。

でも,私が言いたいのはそんなところではありません。

0.03%という金利が低い=運用が不利だと決めつけていませんか

ということなんです(数字は例です)。

金利0.03%というのは,0%やマイナス金利(ECBの中銀金利では現実に議論しています。もちろん市中金利と同じにはとらえられませんが。)よりは高金利です。プラス金利というだけでも有利な運用と言えなくもありません。

金利や運用の話に限りません。

物事が有利だ不利だというのは,相対評価(他と比べた評価)をしないとできないはずなんです。

100万円が高いのか安いのか,1%が多いのか少ないのかという議論は,それ自体全く意味を持たないのです。100万円は家の値段としては,一般的な家の相場からすれば安いでしょうし,時計の値段としては高いといえるでしょう。もっというと,時計といってもフランクミュラーとしては安い部類かもしれません。

0.03%が低いという発想は,100万円が高い(あるいは安い)と言っているのと同じで,単なる直感,感想に過ぎません。

過去ログで書いたことにも関連しますが,

普通預金の金利が安い→だから他で運用すべし

というのは,飛躍した論理だということに気がつくべきでしょう。

最後に,我田引水な話で恐縮ですが(笑),法律的な紛争でも同じことがあります。

一見有利そうな解決案が本当に有利かどうかは,

専門家に相談しましょう。

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