先日、某施設で成年後見制度に関するお話しをさせていただきました。

1時間強のお時間でしたが、みなさん熱心に聞いていただき、自然と熱がこもります。

成年後見

こういう機会って、なかなか文書に残しにくい、「ここだけの話」っていうのが聞けるチャンスでもありますから、みなさん積極的に参加してみてくださいね。

今回みなさんが興味を持たれた、「後見支援信託制度」について説明します。

後見支援信託とは

後見人は、本人(被後見人)の財産を管理し、本人のために広範な代理権を有しますが、他方、本人が大きな流動資産(預金など)を持っている場合にはその管理に相当のリスクをともないます。日常の生活に必要な金銭はある程度限定的で、大半のお金はほとんど使うことはないという方もいらっしゃいます。

そのような財産状況の方について、大半の財産について信託銀行に信託して、その中から毎月必要な生活費など一定額を後見人に払い戻し、本人のために使っていくというものが後見支援信託です。

当初は専門職後見人(弁護士など)が選任され、財産調査をしながら後見支援信託を利用するかどうかの検討をし、裁判所に報告を挙げて、裁判所が相当と認めたら信託の指示書を発行します。
その指示書に基づき信託銀行に信託するという手続になります。

通常、信託後は専門職後見人は辞任し、親族後見人がその後の後見業務を引き継ぐことが想定されています。

後見制度支援信託

背景には、昨今続く後見人の不祥事対策として期待されている面が大きいと思われます。
この制度を使えば、後見人が勝手に財産を引き出すことがむずかしくなるからです。

どんな場合でも使えるか

どんな場合でもこの制度を使えるかというとそうではありません。

・信託できるのは金銭(預金)のみである

不動産などは想定されていません。また株式や有価証券も信託をすることによって性質がかわってしまいますので、利用できません。

・財産が少ない

後見制度支援信託には後見人報酬のほか、信託銀行の報酬もかかります。
信託を利用するのに費用対効果があわない程度の財産しかない場合には適当ではありません。

・遺言がない

遺言がある場合、財産ごとに相続するべき資産が指定されていることが通常です。
信託をしてしまうと、その財産の性質が代わってしまい、遺言者の意図しない資産構成になることがあり、相続人の紛争の元になってしまいます。

・親族間の感情的対立がない 親族後見人に不適当な事由がない

信託後は、親族後見人が日常の財産管理を行っていくことを想定しています。
親族間に対立があると、親族の一部が日常の財産管理を行うことで紛争が発生する場合があります。
また、能力ややる気において問題のある親族しかいない場合も適当ではありません。

などの

後見制度支援信託 – 裁判所

ご親族の判断能力に不安が出てきたなどの事情がでてきたときには、ぜひ弁護士など専門家の相談を受けてください。

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