成年後見制度。
よく話は聞くけれども、他人事だと思っていませんか?
成年後見とは、判断能力が十分でないご本人の代わりに財産を管理したり契約をしたりするための制度です。
ここでは、どんなタイミングで成年後見人をつけることを検討するべきかについて取り上げてみます。

だまされている「におい」を感じたとき

久しぶりに帰省したら、投資系の会社名刺があった!
とか
布団が新しくなってて物が増えてる!?
とか
ほとんど使ってない家の電話機が新しくなって、見たことのない装置も付いてる!
とか
お年寄りが不当な消費者被害のトラブルに遭うということはよくあります。
ご本人がしっかりしていたとしても被害が後を絶たないのに、判断能力が不十分な方であればなおさら危険です。
ご本人の財産を取り戻すためにも、今後の被害を拡大しないためにも成年後見人をつけることをご検討ください。

ご本人の入院や施設入所など契約が必要なとき

高齢の親が倒れて病院代払わなきゃいけないんだけど、親の預金から勝手におろしていいの?
いっときは立て替えるけど、ずっと続くのは困る…
施設に入るために契約が必要なんだけど、毎月の費用はけっこう高額。本人が契約者になってもらわないと困る…
そのようなときも成年後見人が必要です。成年後見人であれば、本人の法定代理人として正々堂々と契約ができます。

遺産分割協議など法律行為が必要なとき

父の相続のために、判断能力が怪しくなった母と遺産分割協議をしないといけないけれど、遺産分割協議書に母の署名と捺印を勝手にするわけにはいかない。
母のために裁判しないといけないけれど、到底本人が対応できる状態ではないし、母本人が弁護士に依頼することもできない状態になってしまった。
そんなときも、成年後見人を選任するタイミングでしょう。

遺産分割などの場合には一つ注意。
ご自身が母親の成年後見になった場合、自分自身が自分と母の代理人を兼ねることはできません。この場合、「特別代理人」を定めてもらうか、「成年後見監督人」を選んでもらって、この遺産分割協議においては母の代理人になってもらう、という手続きが必要になります。

成年後見人を選任する申し立てをした場合の注意

こうした場合に成年後見人を選任してもらうよう、家庭裁判所に申し立てをすることになりますが、注意が必要です。
・目的を達成しても終わらない
施設の契約や遺産分割のために成年後見人を付けた場合であっても、そうした手続きが終わってからも成年後見人の役職は本人が亡くなるまで(もしくは能力を回復するまで)ずっと続きます。
・成年後見人を選ぶことはできない、いったん申し立てをしたら、原則取り下げできない。
たとえば、自分を成年後見人に選んでほしいと申し立てをしても、そのとおりになるとは限りません。家庭裁判所が申立ての内容を判断し、適当な人を選びます。
成年後見人が誰になるかという点に不満があったとしても、申立てを取り下げるには家庭裁判所の許可が必要になります。ご本人に成年後見人を付ける必要性がある以上、通常家庭裁判所は取り下げの許可をしない扱いになっています。

成年後見人をつけないとどうなるか

皆さんの中には、「カードの暗唱番号を知っているので、自分でお金を下ろしてしまっている。」「わざわざ成年後見人なんておおげさな」などとお考えの方もいらっしゃるかも知れません。
でも、成年後見人をしっかり付けておかないと、たとえばご本人が亡くなった後、財産を事実上管理していた親族と他の親族の間で財産の使い道についてもめたり、場合によっては使い込みを疑われたりというケースがよくあります。
また、成年後見人でない親族が、本人の署名や押印を勝手に代行してしまうと、私文書偽造罪などが成立するおそれもあります。

ご本人のためにも、ご自身のためにも、しっかりとした手続きを取っておきましょう。