ウサギくん
前回おしえてもらった初期対応はしましたよ。
伊藤弁護士
ひとまずは治療に専念しましょうね。 
ウサギくん
でも、治療費の支払い不安だなあ。だいじょうぶかなあ。
伊藤弁護士
じゃあ、今回は治療費のことについて説明しましょうか。 

 

【治療費について】

交通事故に遭遇して怪我をした場合、病院で治療を開始することになります。

 

保険会社に治療費を立て替えてもらうには

治療費については、加害者が任意保険に加入している場合、加害者の保険会社が支払の対応をしてくれるのが通常です(これを専門用語で「一括対応」といいます)。

 一括対応をしてもらう際には、保険会社が病院から診療の情報を取り寄せる必要があるので、そのための個人情報を提供することの「同意書」を提出する必要があります。

 

交通事故でも健康保険を使った方がいい?

ここに治療費といっても、同じ治療内容でも大きく2つの値段があります。自由診療・健康保険診療です。その他に労働災害(通勤中・業務中の事故)の場合には、労災保険診療があります。

治療費は、医師が行った医療行為についての点数と単価で算出されます。その1点あたりの単価がそれぞれ異なっています。①自由診療はそれぞれの病院が任意で単価を定めており、通常は1点20円~25円程度の病院が多いです。②健康保険診療は1点10円です(労災保険診療は1点15円となります)。

被害者にとってあまり意識しない点ではありますが、実際にはかなり影響がでてきます。まず影響が出てくるのは、被害者にも過失(事故発生についての落ち度)がある場合です。その過失分の治療費は自己負担となります。

具体的には例えば、自由診療で100万円の治療費がかかり、過失2割あった場合には、20万円が自己負担となってしまうのです。他方、同じ治療内容でも健康保険を使用すれば、単価が自由診療の半分程度なので治療費が50万円となり過失2割の10万円が被害者の負担となります(実際には、健康保険組合が通常は7割負担してくれますので実質的な負担は3万円になります)。

このように被害者にも過失がある場合には、自由診療ではなく健康保険を使用した方が、自己負担は減ることとなります。

 

交通事故でも健康保険を使うことで自己負担を減らすことも

またむち打ち症状のように治療が長引きがちの傷病の場合、保険会社とは治療期間に争いが出てきます。自由診療では治療費がかさむため、保険会社としては早期に一方的に一括対応を打ち切って治療期間をなるべくおさえようとします。健康保険診療では治療費が抑えられるため、一概には言えませんが、自由診療よりは長めに治療期間を認めてくれる傾向があります。

 被害事故の場合、被害者としては自由診療で一括対応をしてもらうのが通常ですが、自分にも過失がある場合には、なるべくなら健康保険診療を受けることをおすすめします。

なお、交通事故において健康保険診療を受ける場合には、必要な届出を健康保険組合に提出する必要がありますので、自分が加入している健康保険組合にお問い合わせください。

 

ウサギくん
へえ、健康保険をつかったほうが有利になることもあるんですね。
伊藤弁護士
交通事故の場合は、健康保険が使えないと誤解している場合もあるので、注意しましょうね。 
ウサギくん
ところで、ウサギがクルマ運転していることはスルーですか?
伊藤弁護士
うん。全部がややこしくなっちゃうからね。 

こうして、ウサギくんの悩みはイトウ先生によってひとつ解決された。ウサギくんの更なる悩みはつづくのであった…